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東洋医学③【とうよういがく】
- ◆薬の副作用という現代医学のひずみ
ファースト・フードよりもスロー・フード、大勢で動き回るパッケージツアーよりも少人数でゆっくり旅を満喫する個人手配旅行といったように、いわゆる「癒し」という言葉でくくられる事物の人気が高まっています。その傾向と、東洋医学やほかの伝統的な治療方法が見直されていることの根っこは同じだと思います。
便利さ、スピード、科学的なことばかりを追い求めてきた足を休めてみると、いろいろなひずみが見えてきたことの表れといえるでしょう。
現代医学がかかえる大きなひずみの一つに「薬品の副作用」があげられます。薬害訴訟に発展するような生命にかかわる副作用もあれば、湿疹や臓器の機能障害といった慢性的な副作用もあります。
一方、東洋医学で使用する漢方薬はどうでしょうか。あとでも述べますが、漢方薬にも副作用の例はあります。ただし、それも使用方法の誤解に基づく場合が多く、そうでなかったとしても重大な事態に陥るケースは、化学合成薬よりはるかに少なくなります。自然の原料が100%安全とはいえないものの、合成薬と比較すると人体にやさしいのは確実でしょう。
現代医学の過度の専門性の高さも、薬の副作用の要因といえます。複数の医院や診療科を受診したお年寄りが、何種類もの薬を処方されるのも問題ですが、処方された薬の中に、胃腸薬と胃腸障害の副作用がある薬の両方が入っているなどというバカげたことも十分に起こり得ます。しかし、東洋医学にある「異病同治」という考え方をベースにしていれば、こういうケースはかなり防止できるはずです。
◆生活習慣病こそ東洋医学の出番
以前「成人病」と呼ばれていた病気が「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。成人病とは、「脳卒中、ガン、心臓病など、40~60歳くらいの働き盛りに多い疾病」という、昭和30年代に提唱された概念です。その後、成人病の発症には生活習慣が深く関与していることが明らかになり、小児期の生活習慣も含めた疾病概念として「生活習慣病」とされたのです。
ガン・心疾患・脳血管疾患のいわゆる三大生活習慣病による死亡割合を見ると、50年前と比べて1・7倍(人口10万人対)にもなり、中でもガンは3倍にも増えています。
これらは、食生活や飲酒・喫煙といった生活習慣の改善で発症の確率を下げられる病気ですから、キーワードは「予防」ということになります。現代医学の軸足も「治療医学」から「予防医学」へと移りつつあります。
こうなると、まさに東洋医学の出番です。東洋医学には、「未病」という発症していない病気を表す言葉と、それを治す「治未病」があり、昔から東洋医学の重要なテーマであるとともに得意分野でもあります。
ただしここでも、現代医学から東洋医学へシフトすればいいという短絡的な発想ではなく、現代医学以外の価値観も取り入れる必要があるということを理解してください。
そしてそれには、現代医学とは異なる視点で体のしくみや病気をとらえる別の医学体系があればベストです。だから、今、東洋医学なのです。
なぜ、今、東洋医学なのか?
【出典】![]() |
日本実業出版社(著:関口善太) 「 東洋医学のしくみ 」 |
A D |
東洋医学のしくみについて | ||
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この言葉が収録されている辞典 |
東洋医学のしくみ事典

- 【辞書・辞典名】東洋医学のしくみ事典[link]
- 【出版社】日本実業出版社
- 【編集委員】関口善太
- 【書籍版の価格】1,620
- 【収録語数】115
- 【発売日】2003年7月
- 【ISBN】978-4534036179