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針と漢方薬【はりとかんぽうやく】
- ◆外科と内科のおよその使い分け
日本では鍼灸治療院と漢方薬局が別々に存在しているので、「○○には漢方薬と針のどちらがいいですか?」と尋ねられることがよくあります。患者さんからすればどちらか一方を選択しなければならないのですから当然の質問ですが、簡単には答えることができないのです。
東洋医学では、「四診」によって患者を診察し、その病気の「証」を見きわめて治療の基本方針を決定するという手順は共通していますから、鍼灸と漢方薬のどちらがいいかという優劣をつけることはできません。
ほとんどの症状に対して、漢方薬での治療方法と鍼灸での治療方法があり、考え方は同じですから、ともに効果を発揮します。ただし、こういう病気には漢方薬の方が適しているとか、鍼灸で治療した方が早いというように、症状に応じた向き不向きはあります。
たとえば中国の東洋医学(現地では中医学)の総合病院では、内科的な症状なら中医内科とか中医婦人科といった漢方薬を使う診療科をすすめられ、関節痛のような整形外科的な症状なら鍼灸科や骨科をすすめられます。
整形外科的な症状に漢方薬を使ったり、内科的症状を針で治療することもありますから、現代医学の外科と内科のようにはっきり分かれるわけではありませんが、似たような使い分けといっていいでしょう。
◆臓腑中心か経絡中心か
症状によって漢方薬と鍼灸治療を使い分ける理由は、治療効果の体内での伝わり方が違うところにあります。
漢方薬の場合は、服用するとまず五臓六腑のいずれかに吸収されてから経絡で関連部位に運ばれて、効果を発揮します。薬効が最初に届くのは臓腑です。これに対して針の場合は、体表面にあるツボ(経穴)から経絡を通して得気が伝えられます。まずは経絡です。
ですから、漢方薬は臓腑の失調から起こる内科的症状に向き、針は経絡(とくに運動系の経筋)の失調からくる整形外科的症状に向くといえるのです。
また、漢方薬は効果が出るまで、少なくとも薬が消化吸収されるまでの時間がかかるのに対して、針治療は即効性が高いので急性症状に向いています。
もっとも、現場でこのような使い分けがきっちりと行われるケースはまれですし、特定の疾患を別にするとその必要もあまりありません。むしろ、一つの証を漢方薬と鍼灸の両方で治療して相乗効果をあげることのメリットの方がずっと大きいのです。
針と漢方薬、どちらがよく効く?
【出典】![]() |
日本実業出版社(著:関口善太) 「 東洋医学のしくみ 」 |
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東洋医学のしくみ事典

- 【辞書・辞典名】東洋医学のしくみ事典[link]
- 【出版社】日本実業出版社
- 【編集委員】関口善太
- 【書籍版の価格】1,620
- 【収録語数】115
- 【発売日】2003年7月
- 【ISBN】978-4534036179