見出し語 全文検索 [ランダム検索]

  • 今日のこよみ
    ・2019年(平成31年/)
    ・12月(師走/December)
    ・11日
    ・水(Wednesday)
    ・二十四節気
    ┣「大雪」から4日
    ┗「冬至」まで11日
    先勝
    ・十支:(みずのえ)
    ・十二支:(うま)
    月齢:14
    月名(旧歴日):小望月(こもちづき)
気づいた点・不具合・要望など、何でもひとことくださいませ



※返信が必要な場合は問い合わせフォームへお願いします 送信

 大坪流【おおつぼりゅう】



2 日本の馬術を体系化した大坪流…馬の気持ちを理解して人馬合体の境地に
 「天は人なり、地は馬なり」
 これは、斎藤好玄が書き記した『大坪流好玄記』にある言葉である。続けて同書は、「天、地の気を知り、地は天の気を知りて事をなす故に合体して一枚なり」という。
 つまり、乗手(天)と馬(地)がお互いに気脈を通じ合って一つになること――人馬合体が、大坪流馬術の極意だとする。
 この大坪流馬術を体系化し、天下に広めたのは、斎藤好玄の功績である。好玄は、日本馬術史に大きな影響を与えた『大坪流好玄記』を完成させると同時に、乞われるままに人々に馬術を教授し、数多くの人材を育成した。やがて弟子らは、大坪流をもとに独自の技法を凝らし、新たなる流派を開いていった。それゆえ大坪流は、我が国の最大の馬術流派となった。
 大坪流の開祖は大坪慶秀である。上総国市原(千葉県市原市)に生まれ、若い頃より小笠原政長に馬術を学び、自らの工夫を加えて一派を開いたと伝えられる。
 慶秀は、室町幕府の3代将軍・足利義満の馬術指南役に採用され、従五位下、式部大輔に任ぜられた。義満の死後は4代将軍・義持に仕え、晩年は剃髪して道禅と称し、1457年に没した。大坪流は実子の永幸、続いてその高弟の斎藤国忠に受け継がれていった。
 そして4代目に就任するのが、『大坪流好玄記』の著者・斎藤好玄である。好玄は、3代目・国忠の孫に当たる。1500年に京都で生まれ、馬術師範として13代将軍・足利義輝に仕えた。1526年に安芸守に任じられ、領地として河内の誉田(大阪府羽曳野市)を授かったとある。1564年には、義輝に大坪流の伝書30巻を献じ、1572年に能州(石川県)で没したとされる。
 しかし、異説もある。江戸時代に書かれた、南北朝時代から江戸期に活躍した武芸者の列伝である『本朝武芸小伝』には、斎藤好玄は能州熊本城(熊木城=石川県鹿島郡中島町)の城主だったとあり、隣国との勢力争いに敗れ、城を捨てて諸国放浪の旅に出、晩年に至りようやく落ち着いた先が、信長の重臣・荒木村重の一族・荒木志摩守元清の屋敷だったというものだ。
 大坪流の秘伝を紹介すると、まず、人馬合体の境地に達するには「上の乗人(騎手)、下の馬の心気をよく知」ることが大切だとする。馬の気持ちを理解しようとしなければ、「馬と一躰せず、馬乗れぬ」ものだという。おもしろいのは、「(馬は)上(騎手)の心を能く能く知るものなり」と記されていることだ。つまり、馬のほうが人間より敏感で賢いと同流は説く。
 もちろん、馬の心気がわかったからとて、すぐに人馬が一体になれるわけではない。「地の馬は天の乗人の教へに随」い、「乗人の気を請けて、其気を生ずるもの」だから、常に精神を清らかに保つ必要がある。もし、「乗人の心清らか成れば、其心、馬また心清然としてよくゆく」と、好玄は言う。
 手綱さばき一つとってもそうである。「父母は、左右表裏の手綱なり」と手綱を両親に比し、「いましめて乗る所は父なり、あはれみて乗るは母なり」と、ときに応じて父のように厳しく、あるいは母のように優しく手綱をとれと教える
 つまり大坪流では、技術論や調教法をうんぬんする前に、馬に接する乗り手気持ちを重視しているのである。人馬合体を可能ならしめるものは、技ではなく心にあるというわけだ。
 小手先の技術より、まず精神論から入っていくのが、日本の乗馬法の特徴だったのである。

【出典】 日本実業出版(著:河合敦)
日本史の雑学事典

JLogosエディター

JLogos編集部

JLogos編集部です。…>>続き

キュレーターページ(外部)

まとめ一覧

プロフィールを見る

プロフィールを閉じる


  • 14625071
    0
    しおり
  •      
  •      



▼お隣キーワード:高田三之丞  平常無敵流平法  足利義輝  岩倉具視  

   



A D

日本史の雑学事典について
歴史上の人物の意外な素顔や、有名な事件の驚くべき真相などを掲載。 教科書ではあじわえない歴史の奥深いおもしろさ、たのしさが収録されています。
この言葉が収録されている辞典

 日本史の雑学事典


  • 【辞書・辞典名】日本史の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】河合敦
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】136
  • 【発売日】2002年6月
  • 【ISBN】978-4534034137










関連辞典
日本史の雑学事典 日本史の雑学事典 日本史の雑学事典 日本史の雑学事典