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 酒井忠清【さかいただきよ】



7 5代将軍は天皇家から?…後継者を巡る徳川将軍家最大の「危機」
 3代将軍・徳川家光の長男で、わずか11歳で将軍職を継いだ4代将軍・家綱は、病弱のために自ら政務を執ることが少なかった。そのため幕政は、老中たちによる集団運営がなされていた。
 その体制の中心となって活躍したのが、大老の酒井忠清であった。家綱治世の晩年には絶大な権力を握り、(大手門前の下馬札の近くに屋敷があったので)「下馬将軍」とさえあだ名されるほどに成り上がっていた。
 1680年5月、まだ40歳の家綱が危篤に陥る。家綱には子がなかったので、ただちに幕府の重臣が招集され、後継者選定会議が催された。
 この席で忠清は、
「将軍様は、どのような方がなられても同じこと。鎌倉幕府の先例にならって、天皇家より親王を一人お迎えし、5代将軍は宮将軍としよう」
 と、ちょっと信じがたい発言をする。
 だが、さらに驚嘆すべきことは、この忠清の意見に、幕閣の大多数が賛意を示したことである。 当時の幕府にあっては、揺るぎのない集団統治機構が確立され、その頂点――すなわち将軍などは、単なるお飾りに過ぎなかったのだ。
 かくして、5代将軍は宮将軍に決定しそうな雰囲気が、ひととき選定会議を包んだ。しかしながら、一人だけこの流れに強く抵抗する男が現れた。老中の堀田正俊である。正俊は、
「血統の正しい館林殿がいるではないか」
 と主張した。館林殿とは、家綱の実弟・綱吉のことである。これに対し忠清は、
「(綱吉は)天下を治めさせ給うべき御器量なし。この君(綱吉)天下の主にならせ給わば、諸人困窮仕まつり、悪逆の御事積もり、天下騒動の事もあるべし」(『御当代記』)
と大反対したのである。
 確かに綱吉は、将軍になってから、天下の悪法と言われる「生類憐みの令」を出して、長いあいだ庶民を苦しめた。つまり、忠清の予言は見事に的中したわけだ。
 さて、将軍後継問題に戻ろう。
 いったんは忠清の意見に傾いた重臣たちだが、なぜかその後、堀田正俊の主張にこぞって賛成し、綱吉を次期将軍と決定している。
 一説によれば、正俊が、病床の家綱のもとへ密かに綱吉を連れていき、家綱から次期将軍のお墨付きを頂戴し、それが正俊によって重臣たちへ披露されたのだと伝えられる。
 いずれにせよ、こういった経緯から、綱吉の忠清を憎むことはなはだしく、将軍に就任するとすぐに、忠清の大老職を解任し、屋敷での蟄居を命じたのだった。
 そして、忠清はそれから間もなくして死んでしまう。
 死因は病死と届けられたが、実は綱吉を恨んで腹を掻き切ったのだ、といううわさが世間に流れ出た。これを知った綱吉は、真実を確かめるべく検視役を遣わした。ところが検視役は、忠清の親類の者に「確かに病死であるゆえ、それだけは勘弁してほしい」と強く拒絶され、とうとう遺体を見ずに戻って、新将軍にその旨を報告した。これを聞いた綱吉は激怒し、
「何としてでも遺体の状況を確認せよ。墓に埋葬されているなら、暴いてでも検視せよ!」
と言いつけたのである。むごい命令だ。
 そこで検視役は、再び忠清邸に赴くが、すでに忠清の遺骸は火葬されたあとだったという。
 それにしても、もし堀田正俊の主張が通らなかったら、徳川家康の血脈による将軍は、たった4代で途切れてしまっていたことになるわけだ。

【出典】 日本実業出版(著:河合敦)
日本史の雑学事典

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  • 【辞書・辞典名】日本史の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】河合敦
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】136
  • 【発売日】2002年6月
  • 【ISBN】978-4534034137










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