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 薬草の効能【やくそうのこうのう】


同じ薬草でも東洋医学と現代医学では効能が違う



◆同じ薬草なのに違う効能?
 日本での生薬は、現代医学的な観点から薬草の成分を化学的に分析して、その結果をもとに薬として使用されています。『日本薬局方』に収載されている生薬もそのようなもので、含まれている成分と効能がはっきりと示されています。
 こういった生薬に属する薬草とまったく同じ植物が、漢方薬に使う「中薬学」の分類にも多く入っています。しかし、薬草の効能対する考え方が東洋医学と現代医学で違うため、漢方薬では同じ薬草を使っていても現代医学的に分析された成分による治療効果ではなく、東洋医学的な効能をベースに処方しています。
 つまり、同じ薬草でも現代医学と東洋医学とでは、適応症の範囲が違ったり、微妙にずれていたり、場合によっては全然一致していないということもあるのです。

漢方薬の成分が不明なのは?
 漢方薬が化学的な成分分析の結果に頼らない最大の理由は、漢方薬を成分分析すること自体、非常に困難な点にあります。
 漢方薬での処方の多くは、複数の薬草を組み合わせた方剤です。薬草同士の相性を考えながら薬効を協調させていくわけで、組み合わせる薬草の数が10種を超えることも珍しくありません。
 たった1種類の植物に含まれている化学成分だけでも100種類を超えますから、そのすべてを分析するのは非常に手間がかかります。まして方剤となると、種類が増えるうえに、混ぜて煎じたときの化学反応まで考慮に入れなければならなくなります。
 実際に、すべてを正確に化学分析することは実質的不可能とさえいわれており、そのため、成分分析に頼らず長年の臨床経験によって蓄積された知識をベースに処方されているのです。
 ここで、漢方薬が化学的成分にこだわらないという、象徴的な例を紹介しましょう。
 カゼのひき初めに用いられる「桂枝湯」と腹痛の薬である「桂枝加芍薬湯」の2つは、薬草の構成という点ではまったく同じです。ところが、その中の「芍薬」の分量が変わっただけで、違う薬になるのです。
 漢方薬では色・形・味などを重視して処方されます。たとえば、使う調味料が同じ料理でも、一つの分量が違えば味が変わってくるのと同様に、漢方薬では組み合わせる薬草の一部、あるいは量によって効能が変わってくることがあるのです。

◆生薬の成分表示のウラ事情
 では、なぜ『日本薬局方』に収載されている生薬には、成分が表示されているのでしょうか。
 理由の一つは、保険のきく薬として現代医学の病院で使われるというところにあります。病院の医師は、現代医学的に納得できないとなかなか薬を使ってくれません。そこで、製薬会社は病院で大量に使ってもらうために、医師にわかってもらいやすい主要な成分の分析結果や効能をつけることが多いのです。
 当然、明らかにされている主要成分と効能は、その生薬や漢方処方のすべてを表すものではないので、それだけをもとに使うと東洋医学での使い方とはかなり違ってしまう場合もあります。ここにも、近年日本で漢方薬による副作用が増えている一因があると考えられます。

【出典】 日本実業出版社(著:関口善太)
東洋医学のしくみ

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東洋医学の正しい知識がわかる本。「病気はなぜ起こるのか」「そしてどうやって治すのか」「病気の証とは何か」など現代医学とは違う視点・考え方で詳しく解説。
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  • 【辞書・辞典名】東洋医学のしくみ事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】関口善太
  • 【書籍版の価格】1,620
  • 【収録語数】115
  • 【発売日】2003年7月
  • 【ISBN】978-4534036179










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