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 治病求本【ちびょうきゅうほん】


治病求本とは-病の本質を究明する



◆体質に定着した根本的症状を究明
 病気を究明しようとしない医学などありません。にもかかわらず、東洋医学では治療原則の第一にあえて「治病求本」、すなわち病の本質を究明することを掲げているのはなぜでしょうか。
 病の本質とは、その病を形成している根本的な部分をいいます。慢性化して複雑になった病気の場合、その多くは病の本質である「正気の不足」が隠れていることになります。診断では、それを究明しなければなりません。
 一方、転んで足首を捻挫したとか、日数のたった牛乳で猛烈な下痢を起こしたというような単純な病気の場合は、表面的に見える部分に対処すれば解決できますから、あえて病の本質を究明する必要はありません。
 腰痛の例をとると、病の本質からくる症状があって、これに何か突発的な誘因がプラスされるととても重い症状が出てきます。このように、「重くなった症状」と「病の本質からくる症状」という2つの症状がかなり違っていたり、症状が重いために病の本質が隠れてしまっているケースが非常に多いのです。この場合に、どちらか一方の症状だけで判断すると治療方法を間違えるおそれがあります。

◆対処療法でいくか根本的な治療か
 このように書くと、病の本質を究明して根本的な治療を施すことが治病求本だと思われるかもしれませんが、それは間違いです。
 本質をきちんと究明したうえで、その段階でまず対症療法をした方がいいのか、根本的な治療をした方がいいのかを判断すること、これが治病求本の真の目的です。
 ですから、東洋医学では場合によって、とりあえず体質の治療は捨てて対症療法で急性症状を治してから根本的な治療に転換することもあれば、本質の治療をしている過程で症状が急変したとき、一時的対症療法に切り替えることもあります。

◆急性症状の治療も当然行われる
 東洋医学というと日本では慢性病専門のようなイメージが強いので、急性症状の治療には対応していないと思う人がいるかもしれません。しかし、急性症状の治療もまったくふつうに行われていることなのです。
 たとえば、膀胱炎の強い症状を取り除くために「八正散」(日本では猪苓湯で代用)という漢方薬をよく使うのですが、これなどは急性の症状に対応した典型的対症療法です。
 一般的には、それで症状がなくなれば治ったことになります。抗生物質を使う現代医学なら、菌が検出されなくなった状態です。
 ところが菌が検出されなくても排尿に違和感があるなど、慢性化している人もいます。こういう場合は八正散を使っても効果は出ないので、正気を補うなどの目的で「六味地黄丸」「八味地黄丸」という薬を体質に合わせ使い分けます。
 さらに、慢性化している人が急に下半身冷やすなどによって強い排尿障害の症状を再発したら、再び薬を八正散に戻すこともあります。これが治病求本の原則に基づく治療の方法ですから、急性症状を治療することができなければ、治病求本自体が成り立たないということにもなるのです。

【出典】 日本実業出版社(著:関口善太)
東洋医学のしくみ

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  • 【辞書・辞典名】東洋医学のしくみ事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】関口善太
  • 【書籍版の価格】1,620
  • 【収録語数】115
  • 【発売日】2003年7月
  • 【ISBN】978-4534036179










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