見出し語 全文検索 [ランダム検索]

  • 今日のこよみ
    ・2019年(平成31年/)
    ・12月(師走/December)
    ・19日
    ・木(Thursday)
    ・二十四節気
    ┣「大雪」から12日
    ┗「冬至」まで3日
    先負
    ・十支:(かのえ)
    ・十二支:(とら)
    月齢:22
    月名(旧歴日):下弦の月/下つ弓張(しもつゆみはり)
気づいた点・不具合・要望など、何でもひとことくださいませ



※返信が必要な場合は問い合わせフォームへお願いします 送信

 荒木村重の謀反④【あらきむらしげのむほん】



7 荒木村重の謀反④…六条河原・車裂の刑と荒木村重のその後
 信長はさらに、荒木一族を京都で処刑するように命じた。その日の夜のうち、村重の妻・たしをはじめとする荒木一族36人は城から引き立てられ、夜通し歩かされて京へ入り、妙顕寺という寺院に設置された牢屋へぶち込まれた。
 信長は処刑を見物するために、同じく京都の妙覚寺に入り、妙顕寺に捕らえておいた荒木一族の処刑を執行すると宣言した。
 これを知った荒木一族は、寺の僧侶に布施を渡して戒名をつけてもらい、経帷子(死装束)や数珠などを用意した。さらに、親族への遺書、知人に宛てた別れの書簡を書き、辞世の句を認めて、心の準備を整えた。
 1579年12月16日の午前8時、迎えの車11台が妙顕寺に到着した。1台に数名ずつ分乗して、荒木一族は寺をあとにした。このなかには、荒木村重の娘で身重の15歳の少女や、8歳や13歳といった子供のいたいけな姿もあった。
 数百名の織田方の鎧武者が、抜き身の槍や長刀を握り、車の前後に従った。荒木一族は、上京一条の辻から室町通りに至る街中をゆっくり車で引き廻され、刑場となる六条河原へと向かった。
 京都じゅうにはすでに町触が出されていて、沿道は野次馬の町人で溢れんばかりだった。荒木一族は、大勢の好奇な目にさらされる恥辱を受けることになったが、さすがは武士の一族、多くは取り乱す様子もなく、凛とした態度を保っていた。とくに、ひときわ目を引いたのが、村重の妻・たしであった。彼女は『今楊貴妃』と呼ばれたほどの美女であったが、最期のときも恐怖の色一つ見せず、車から降りるさいにはしっかり帯を締め直して髪も結い直し、服の襟を引いて首を見せ、見事に首を討たれたのである。荒木久左衛門の息子で14歳の自念、伊丹安大夫の8歳の息子は、
「最期のところはここですか」
といって静かに座り、首を差し出したという。こういった荒木一門の態度に、見物人はしきりに感嘆の声を漏らしたのだった。
 だが、一族の乳母や召使いのような身分低き人々は、人目もはばからずに悶え嘆き、まことにみじめであった。
 信長は、さすがに荒木一族には敬意を払って斬首に処したが、身分低き者たちへの処刑については、かなり残酷なことをして楽しんだ形跡が見られる。数名に「車裂の刑」を執行したのだ。
 車裂は古代の中国でよくおこなわれた刑で、2台の馬車にロープで片足・片手をそれぞれ固定し、馬車を反対方向へ思いっきり走らせて、人体を引き裂いて殺すという、むごたらしい処刑である。
 信長は、このような残酷な処刑方法が大好きだったらしい。股が裂けて内臓が飛び出し、手足がバラバラになった痛ましい遺体は、おそらく信長の異常な性癖を満足させたにちがいない。
 さて、荒木村重のその後はどうなったのか?
 彼は結局、信長には討たれなかった。尼崎城から花隈城へと逃れ、さらに同城陥落の混乱にまぎれ、まんまと毛利氏の領国である尾道へ入り、そこで本能寺の変を迎える
 そのまま世に出ず、尾道で逼塞していればまだしも、豊臣秀吉が台頭してくると、何と、おめおめとかつての同朋・秀吉のお伽衆となって、微々たる禄を与えられて喜んでいる。
 村重は剃髪して「道薫」と名乗ったが、一説によると「道糞」とも伝えられている。確かに、道端に落ちている糞以下の人間だ。これでは、惨殺されていった多数の一族や家臣たちは、いつまでたっても浮かばれないだろう。

【出典】 日本実業出版(著:河合敦)
日本史の雑学事典

JLogosエディター

JLogos編集部

JLogos編集部です。…>>続き

キュレーターページ(外部)

まとめ一覧

プロフィールを見る

プロフィールを閉じる


  • 14625020
    0
    しおり
  •      
  •      




   


  1. 日本史の雑学事典>第2章 事件の巻>安土桃山時代    >    荒木村重の謀反④
  1. ◆「荒木村重の謀反④」の関連ワード

  2. 赤穂浪士

  3. 吉良上野介

  4. 荒木村重の謀反③

  5. 荒木村重の謀反②


A D

日本史の雑学事典について
歴史上の人物の意外な素顔や、有名な事件の驚くべき真相などを掲載。 教科書ではあじわえない歴史の奥深いおもしろさ、たのしさが収録されています。
この言葉が収録されている辞典

 日本史の雑学事典


  • 【辞書・辞典名】日本史の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】河合敦
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】136
  • 【発売日】2002年6月
  • 【ISBN】978-4534034137










関連辞典
日本史の雑学事典 日本史の雑学事典 日本史の雑学事典 日本史の雑学事典