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 武士【ぶし】


世界にも広まった、失業した武士がはじめた新事業



一八七一(明治四)年七月一四日(旧暦)、廃藩置県がおこなわれ、江戸幕府の基幹である幕藩体制が完全に崩れ、明治政府の中央集権化が進んだ。しかし、このときまでは藩士はまだ家禄(藩時代に武士の家に与えられた年俸のようなもの)を支給されていたが、藩に替わった明治政府は、金禄公債証書(家禄を廃止する代わりに、一定の額のお金を交付するという証書)を発行することで、この家禄の廃止を決めた。藩主などは華族令の施行とともに華族に列せられ、東京で特権的な身分を享受できたが、一般の武士たちの支給された金禄公債証書の額面は微々たるものであった。多くの藩士たちが困窮したことは必然の結果だった。政府も、北海道の屯田制度に代表される入植を武士たちを中心に各地で進めた。もちろん、自力で生活の糧を求める武士たちもいた。そんななかに、福岡藩士であった和泉要助がいた。鈴木徳次郎、高山幸助らと語らって、はじめた商売が「人力車」の製作と営業である。このときの車夫(人力車を運転する人)は、失業中の武士たちであった。東京府(当時)に営業許可を求め、一八七三(明治六)年には助成金も得て、業容の拡大を図った。失業対策に人力車は有効と考えた政府は、一八八三(明治一六)年にも再び助成金を交付している。人力車の運転免許証の制度も整えられた。この免許の申請が難しくなかったこともあって、日銭を稼げる商売として徐々に従事する人が増えていった。人力車が考案されて間もない一八七二年までには東京府の駕籠は駆逐され、一八七六年には人力車が約3万台と普及した。この後さらに増加し、明治の終わり頃には日本中で20万台以上が走っていたといわれている。乗った客が車夫をよく見ると、以前奉公したことのある殿様だった……ということがあったといわれるのも、この頃のことであろう。この人力車も、自動車の普及とともに徐々に衰えていく。しかし、この人力車から発生した自転車とのコラボレーションで考案された「リキシャ」が、アジアの国に広まった。現在、日本の観光スポットでよく見かけるようになった。見た目にも風情があり老若男女を問わず人気がある。しかし、これが失業した武士がはじめた商売だったことを知る人は少ない

【出典】 東京書籍(著:東京雑学研究会)
雑学大全2

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雑学大全2について
浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。
この言葉が収録されている辞典

 雑学大全2


  • 【辞書・辞典名】雑学大全2[link]
  • 【出版社】東京書籍
  • 【編集委員】東京雑学研究会
  • 【書籍版の価格】2,160
  • 【収録語数】1,000
  • 【発売日】2004年8月
  • 【ISBN】978-4487801305










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