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 八丁堀の旦那【はっちょうぼりのだんな】


一目置かれてはいたが、下級武士だった



時代劇に出てくる「同心」といえば、現代では「刑事」。カッコいいイメージのある役どころだ。着流しで羽織の裾をちょいとからげて、懐には十手。捕り物ではタタタッと活躍して、江戸庶民からは拍手喝采を浴びている。当時、組屋敷のあった八丁堀にちなんで、庶民の間では「八丁堀の旦だん那な」と呼ばれて一目置かれる存在だが、実際のところ、どうだったのだろうか。同心は、幕府の役人ではあるが最下級の武士で、将軍様には目通りできない「御目見得以下」という立場。収入はわずかばかりで、町奉行所内の地位もそれほど高くはない。お白洲(裁き)のときは砂利の上で控えていなければならなかったとか。そのうえ、同心は名義上、一年契約の身分で不安定な雇われ人だった。なんといま流行の「派遣さん」の走りだったわけである。毎年大晦日に、与力に呼ばれて再契約かどうか知らされるという立場であったようだ。つまり、最も働いて最も危険な現場に出たにもかかわらず、契約社員の扱いだったということである。では、同心の家計は火の車苦しい毎日だったのかといえば、実際には、それなりの付け届け副収入があって、生活は結構潤っていたらしい。それはそうである。実際に庶民の暮らしを守っているのは同心なのだから、庶民のほうが黙ってはいない。家の近所の防犯に一役買ってくれているからと、盆暮れに大家から贈り物が届いたり、表では同心を差別している大名でも、世話になっているからと個人的に金品を渡していた例もあるようだ。なかには、ちょっとした事件をもみ消してもらいたいために、付け届けをした輩もいたに違いない。テレビドラマの『必殺仕事人』に出てくる中村主水などがその代表であろうか。劇中でも「八丁堀の旦那」と呼ばれていたし、普段はうだつの上がらぬ下級武士でも、裏稼業では悪いやつを切って金をもらっていた。確かに高い地位は与えられなかったが、良くも悪くも時代劇の主役になるような、おもしろい人生を送っていたのかもしれない。

【出典】 東京書籍(著:東京雑学研究会)
雑学大全2

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雑学大全2について
浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。
この言葉が収録されている辞典

 雑学大全2


  • 【辞書・辞典名】雑学大全2[link]
  • 【出版社】東京書籍
  • 【編集委員】東京雑学研究会
  • 【書籍版の価格】2,160
  • 【収録語数】1,000
  • 【発売日】2004年8月
  • 【ISBN】978-4487801305










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