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 煙草【たばこ】



14 日本人の煙草を吸う習慣はいつから?…明治期には激しい宣伝合戦も
 タイトルの結論を最初に言ってしまえば、日本人が煙草を吸うようになったのは、16世紀末、戦国時代からである。ポルトガル人やスペイン人が、南蛮文化と共に我が国に喫煙の習慣を持ち込んだとされている。
 だが、そんな彼らの煙草歴も長くはない。
 初めてヨーロッパ人が煙草の存在を知ったのは、日本に煙草が伝わるわずか100年前のこと。1492年、コロンブスがアメリカ大陸に上陸したとき、西インド諸島の人々が煙草を吸っていたのを見たのが最初だという。それから数十年後、煙草に疫病の治療薬としての医学的効果があると信じていたフランス人のジャン・ニコットという人物が喫煙をヨーロッパに広め、それがまもなく日本に伝来したというわけだ。ちなみに、ニコットの名はニコチンの語源でもある。
 ここ10年、日本では嫌煙権が強く主張されるようになり、政府や嫌煙家から禁煙のかけ声もあがり、公共の場では煙草が吸えなくなっている。
 にもかかわらず、実は喫煙者の数はたいして減っていない。それどころか、20代の女性の喫煙率は逆に急増している。現在、成人男性の半数以上、女性は10%以上の人が喫煙している。
 誰も身体に良いと思って飲んでいる人はいないと思うが、やはり煙草は、一時的ストレスを霧散させると共に、常習性が強く、一度吸い出したらなかなかやめられないのだろう。
 戦国時代でも、喫煙の習慣は、数年のうちに全国へ広まってしまった。初めて煙草が栽培されたのは、国際港・長崎だというが、このように煙草の需要が急増したため、農民たちは換金性の高い煙草葉を競って栽培するようになった。
 だが、年貢を徴収する立場から米穀の栽培を望んでいた徳川幕府は、早くも1605年に煙草栽培禁止令を発している。同時に、火の用心の意味から、幕府はたびたび喫煙禁止令も出したが、清やロシアのように厳しく喫煙者を処罰しなかったので余り効果がなく、江戸時代中期には、むしろ換金作物として、農民の煙草栽培を奨励するようになっている。
 日本の煙草は、葉巻や紙巻き煙草ではなく、きざみ煙草を煙管に詰めて吸った。江戸初期に登場した旗本の次男・三男を中心とするかぶき者は、1メートルもある鉄製の煙管をふかし、ケンカのときは、これを武器にしたというから恐ろしい。また、花魁が煙管をくわえた浮世絵は有名だろう。
 国産の紙巻き煙草が初めて登場するのは、明治維新の直後、1869年のことである。土田安五郎という東京麹町の煙草商の作成と伝えられる。
 その後、「天狗煙草」のブランドで知られる銀座の岩谷松平(岩谷商会)や、京都から東京へ進出し、ハイカラパッケージネーミングで話題を呼んだ村井吉兵衛(村井兄弟商会)などが、外国の煙草製造器を導入して煙草の大量生産を開始し、国産の廉価な紙巻き煙草を販売していった。
 明治中期になると、煙草業者の煙草販売合戦はどんどんエスカレートしていき、誇大なキャッチフレーズを使った宣伝ポスターや看板をあちこちに出したり、煙草を購入すると景品をつけるようになっていった。美女の写真も景品の一つだったというから驚く。
 だが、こうした販売合戦も1904年に終わり告げる。煙草が国家の専売とされたからだ。日露戦争を控えて、当時は軍備増強に奔走していたから、専売によって収入を得ようとしたのである。
 専売制度は戦後も続き、ようやく専売公社がJT(日本たばこ産業)として民営化されたのは、1985年のことであった。

【出典】 日本実業出版(著:河合敦)
日本史の雑学事典

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  • 【辞書・辞典名】日本史の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】河合敦
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】136
  • 【発売日】2002年6月
  • 【ISBN】978-4534034137










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