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 征韓論①【せいかんろん】



16 太政大臣の優柔不断が征韓論争を勃発させた?…岩倉使節団の渡航中に西郷隆盛が口火
 1871年、新政府は近代化に向けて欧米の文物を吸収すべく、岩倉使節団を派遣する。使節団には岩倉具視をはじめ、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文など、そうそうたる顔ぶれが参加した。
 留守政府の最高位にある太政大臣・三条実美は、これだけのメンバーが数年間不在になることを非常に不安がり、大久保か木戸を残留させるよう岩倉に訴えた。
 けれども岩倉は、使節団が帰国するまで新政策を一切遂行しない、と留守参議に誓わせただけで、全員を連れて旅立ってしまった。
 だが、三条が心配したとおり、西郷隆盛ら留守政府のメンバーはすぐに約束を破り、自派に都合のよい人物を参議に登用、次々と新政策を断行していった。
 なかでも三条が一番困惑したのが、1873年の朝鮮への遣使問題だった。
 当時の朝鮮は、鎖国政策を続けており、日本の開国要求に対し、一向に応じようとしなかった。
「無礼であるゆえ、朝鮮を討つべきだ」 
 そういう声が政府内で大きくなると、西郷は自らが朝鮮へ出向いて開国を勧めると言い出した。あくまで平和友好の使者だと強調したが、内実は、わざと朝鮮人の怒りを買って自分が謀殺されることで、日朝戦争の契機を掴もうとしたとされる。
 この頃、特権を奪われた士族の不満が渦巻いており、いつ反乱が起きてもおかしくない状況にあった。これを憂慮した西郷は、士族を対外戦争へ動員し、鬱屈した不満を解消させようと考えたのだ。
 けれども、いま西郷に死なれては困るし、戦争は国家を疲弊させ、列強諸国の干渉を受ける可能性も大だ。だから三条は、遣使を認めようとはしなかった。
 しかし西郷は、その後もたびたび使節に任命されんことを請い、8月16日には三条邸を訪問した。三条は、岩倉一行が帰国するまで待てと諭したが、西郷は、
「もしや使節を差し立てられ候儀、宜しからずと思し召し候わば、その段拝聴仕りたく」
と、渋る理由を聞かせろと迫った。
 弱った三条は、要求を受け入れる方向に動き出し、翌17日、参議会議を召集する。当時、参議の大半が西郷派だったので、当然のごとく派遣が決定された。つまり三条は、西郷の勢いの前に押し切られたのである。
 実は、以前にも同じことがあった。
 明治維新のおり、前将軍・徳川慶喜の処分は、処刑か遠島と決定していた。ところが、勝海舟に嘆願された西郷は、慶喜の免罪を新たに提起する。しかし、いったん決議された事柄ゆえ、三職会議(総裁、議定、参与)で一蹴された。すると西郷は、職を辞して鹿児島に帰ると言い出したのだ。
 このとき、最初に折れたのが三条だった。三条は辞職を思いとどまるよう、西郷を説得し、三職のあいだを周旋に奔走、苦労して慶喜の断罪を撤回させた。この前歴が、西郷に「強く出れば妥協する」という三条像を刻み込ませてしまったのだろう。
 同月19日、三条は遣使の件を天皇に言上した。対して天皇は、岩倉の帰国を待って再度審議するよう下命した。しかし、人のいい三条は、天皇の言葉に遣使は許可されるだろうとの希望的観測を加えて西郷に伝えてしまったのである。
 同日、西郷は板垣退助に出した書簡のなかで「生涯の愉快、この事に候」と狂喜しているが、この三条の余りにも軽率過ぎた一言のため、のちに政府は大分裂をきたすことになる。

【出典】 日本実業出版(著:河合敦)
日本史の雑学事典

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  • 【辞書・辞典名】日本史の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】河合敦
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】136
  • 【発売日】2002年6月
  • 【ISBN】978-4534034137










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