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 ケミカルピーリング【けみかるぴーりんぐ】





 ケミカルピーリングは、酸を用いて皮膚を剥脱する方法です。使う酸の強さによって、剥脱するレベルが調節できます(図1:ピーリングの深達度による分類)。日本でよく使われているのはグリコール酸やサルチル酸マクロゴールで、皮膚の最外層である角層という垢になって落ちる直前の部分までが剥脱できます。フェノールなどの強い酸を用いた治療は、皮膚の深いところまで浸透するため、欧米でしわに対して用いられますが、黄色人種では色素沈着やケロイドを生じることが多いため、ほとんど行われていません。
 日本皮膚科学会のケミカルピーリングガイドラインでは、最も有効性が確立した皮膚の病気としてにきびをあげています。グリコール酸を使った角層に対するケミカルピーリングは、余分な角層を取り除くことで、肌を滑らかにする作用や、肌を白くする作用があるとされていて、化粧の乗りがよくなることから美容的な分野でも注目されています。
 にきびには、いろいろな状態があります。白にきびと黒にきびは、毛穴が詰まり皮膚の脂(皮脂)が毛穴にたまった状態です。たまった皮脂に、にきび菌が増えて炎症が起きると赤いにきびや膿を持ったにきびになります。さらに、炎症がひどくなると硬いしこりや、膿が皮膚の中にたまった状態になります。
 白にきびや黒にきびの原因の一つは、角栓と呼ばれる角層が厚くなっているもので毛穴の先がふさがれていることにあります。従来のにきびの治療は、抗生物質を使って炎症を取ることが中心でしたが、最近では毛穴の詰まりをなくして、初期の症状も治療できるようになってきました。2008年に認可されたアダパレンという外用薬を継続して使用したり、ケミカルピーリングを繰り返すことで、角栓を取り除くことができます。ケミカルピーリングは保険適応外ですので、アダパレンで効果不足の場合に追加して行われたり、あるいはアダパレンの副作用が問題になる場合に使われています。
 ケミカルピーリングの利点は、それぞれの患者さんの目的や肌質、肌の状態によって最適の方法を簡単に選択できることです。実際には、使う酸の種類、濃度、酸性の度合い、施術時間などをそれぞれの患者さんに合うように設定します。にきびに対しては、2週間に一度、3カ月間くらい続けると効果が実感できます。施術時に、若干の刺激感を訴える方もいますが、多くの場合施術中に治まります。剥脱するレベルが浅いので、通常の方法であればトラブルはありません。OLが昼休みに施術を受けて化粧をして職場に戻ることができるため、アメリカでは「ランチタイムピーリング」などとも呼ばれています。
 ケミカルピーリングの後のスキンケアも重要です。サンスクリーン(紫外線防止)を心がけて下さい。また、乾燥が強い場合には保湿クリームを使用して下さい。にきびの方の場合には、油性の化粧品を避ける必要があり、とくに油分を多く含むウオータープルーフ(耐水性)のサンスクリーン剤や、油分が中心の保湿クリームは悪化因子になります。敏感肌用の化粧品は、大抵、乾燥肌向きにデザインされています。にきびの方は、にきび用の化粧品を選ぶようにするとよいでしょう。
 全身性エリテマトーデスなどの日光が増悪因子となる全身性疾患の患者さんには、基本的に行いません。また、アトピー性皮膚炎などで肌に乾燥のある方には、肌質や皮膚の状態に合わせて施術することになります。詳しくは、専門医にご相談下さい。
 厚生労働省の通達で、酸を用いたケミカルピーリングは医療行為とされており、医療機関でなければできない治療となっています。経験のある医師のもとで施術を受けられれば、トラブルはほとんどありません。健康保険適応外のため、費用はそれぞれの医療機関にお問い合わせ下さい。 (林伸和

【出典】 寺下医学事務所(著:寺下 謙三)
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  • 【ISBN】978-4890417162










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