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 ネオマグ


中国がレアアースの輸出制限を発表したとき、日本の産業界は青ざめた。その理由の一つは、「磁石」にあった。



磁石は「日本のお家芸」ともいえるほど、日本ですばらしい発明がなされてきた。

例えば、本多光太郎が1917年(大正6)に発明したKS鋼(ケーエスこう)が有名だ。

これはコバルト、タングステン、クロムを含む鉄の合金で、当時は画期的な高性能磁石だった。

このKS鋼からもわかるが、鉄に他元素を混ぜると磁石の性質は変わる。

そこで、さまざまな組み合わせが試されることになり、その中で、現在最強の磁石の一つとされるものが生まれた。

ネオジム磁石、略してネオマグである。

鉄にネオジムと呼ばれる元素などを混ぜた磁石だ。

この磁石の誕生によってモーターの性能は一気に向上し、エアコンや産業用機器の大幅な省エネが可能になった。

例えば、省エネ型エアコンのモーターにネオマグを使うことで、従来のエアコンに比べて20パーセント以上の電気代の節約につながる。

また、携帯電話のバイブレーション機能などに使われ、携帯電話が小型高性能化した。

ハイブリット自動車や電気自動車の力強いモーターとしても活躍している。

ネオマグがなぜ優れているのかを理解するには、まず、鉄がなぜ磁石になるかを知る必要がある。

それは原子の世界にまでさかのぼる。

原子は中心を原子核とし、周囲を電子が回る構造だが、その電子自体も自転(スピンと呼ぶ)して電磁石を生む。

通常の原子では、ペアを組んだスピンの電磁石は打ち消し合っているが、鉄にはペアを組めない電子がある。

鉄が磁石になる理由はここにある。

このスピンによる電磁石がいっせいに揃(そろ)うと、それが永久磁石になるのだ。

ネオマグが強力な磁石なのは、混入されたネオジムがスピンの方向をしっかり保持しているからである。

熱や他の磁力が加えられても、ネオジムがガードしてくれるのだ。

ネオジムは、レアアースと呼ばれる元素の一つである。

レアアースの多くは中国から算出される。

これが日中問題を複雑にしている要因の一つにもなっている。



【出典】 中経出版
雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2

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『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2』の紹介



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著者
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 中経出版「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」


  • 【著者・監修】涌井良幸・涌井貞美[link]
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