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 記念日【きねんび】


建国記念の日に根拠はあるか



◆神武天皇即位の日は一月一日だった
 わが国最後の太陰太陽暦である天保暦(旧暦)が、明治六年よりグレゴリオ暦へ改暦されるのにともない、紀年法としては神武紀元(のちに皇紀と呼ばれた)の採用と、二月一一日を紀元節として祝うことが布告された。これは神武天皇の即位が「辛酉年春正月庚辰朔」と『日本書紀』に記されていることに基づく。この正月庚辰朔(一月一日)をグレゴリオ暦にあてはめると二月一一日になるからだ。一九六六年に、敬老の日体育の日とともに、国民の祝日として制定された「建国記念の日」は、戦後廃止された紀元節を復活させたものである。民主主義の流れにさからう時代錯誤として反対運動が展開されたり、はたして二月一一日という日付は正しいかという問題をめぐって侃々諤々の論議も起きた。
 春正月庚辰朔という干支紀日法は、持統天皇の代に施行された儀鳳暦に基づく。しかし、西暦前六六〇年、つまり神武元年には、確固とした暦法があったわけではなく、当時の出来事が確実に伝えられているわけでもない。たとえ何らかの方法により正しく伝えられたと仮定しても、太陰太陽暦においては、閏月の挿入により暦日と季節とは毎年、大きくずれる。儀鳳暦に基づく神武即位年の春正月庚辰朔が、現行のグレゴリオ暦にあてはめると、たまたま二月一一日となるにすぎない。しかし、歴史の起点を決めないことには紀元が成立しない。かといってキリスト教に由来する西暦紀元は天皇制国家にふさわしくない。そこで『日本書紀』の記述にそって、明治六年を神武紀元二五三三年、二月一一日を紀元節にすることが決定されたのである。
◆終戦記念日国民の祝日になってもよい
 二月一一日という日付に特別の意味があるように感じたり、無理に意味をもたせようとするのは、建国記念の日を国の誕生日のように解釈するからだ。しかし、明治以前の日本においては、誕生日を祝う習慣がなかった。昔の年齢の数え方は、生まれたときを一歳とし、正月がくるたびに一歳ずつ加える数え年」によることが普通だった。大晦日の夜のことを「年取り」というのはこのためだ。つまり生年月日ははっきり把握していても、毎年、特定の日に誕生日が訪れるという意識はなかったのである。したがって、二月一一日をまるで国の誕生日のように祝うのはおかしい。
 そもそも記念日とは過去をしのぶためのものである。祥月命日(故人の死去と同じ月日)というのも周年記念日であり、故人をしのぶ気持ちが優先されるから、法要の日付がずれても気にされない。建国を祝うなら別の日でもいっこうにかまわないことになる。二月一一日の建国記念の日がまったくの無根拠というわけではない。ただ、日付にこだわるよりも、建国記念の日に国民はいったい何をしのぶべきかという問題のほうが大事なのである。だから終戦記念日国民の祝日となってもおかしくはない。記念日必ずしもめでたいものとはかぎらない。あわただしく騒々しい世の中だから、一日ぐらい静粛を保つ国民の祝日があってもよい。

【出典】 日本実業出版社(著:吉岡 安之)
暦の雑学事典

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  • 【辞書・辞典名】暦の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】吉岡 安之
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】198
  • 【発売日】1999年12月
  • 【ISBN】978-4534030214










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