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 病気の種類を見きわめる



 予診のつぎの段階として、病気がどういう種類なのかを見きわめます。東洋医学では病気の種類のことを「証」といい、診断をつけるために証を見きわめることを「弁証」といいます。ここでは、以下の2点について知る必要があります。

① 邪気を取り除く治療を優先するか、正気を補う治療を優先するかを判断するために、邪気が中心になって起こっている症状「実証」なのか、正気の不足で起こっている症状「虚証」なのかを見きわめる。
② 温めながら治療するか、冷やして治療するかを判断するために、熱証(熱性の邪気が旺盛、または陰性の正気が不足)であるか、寒証(寒性の邪気が旺盛、または陽性の正気が不足)かを見きわめる。

 ①②のために診察することを「八綱弁証」といいます。ただ、前述したように今回の腰痛とふだんの腰痛の原因が異なっている可能性があるので、①も②も答えは一つとは限りません。両方の特性に注目しながら診察する必要があります。


●診察1
<今回の腰痛>
A 腰椎4番目を中心に強い痛みがあり、とくに前後屈しようとすると激痛が走る。患部は圧されるととても痛く、揉んでもらっても気持ちよくない。
B 患部は冷えていて緊張しており、圧迫すると痛がる。痛みは入浴したり温めると軽減する。また、動き始めは強く痛むがしばらく動いて体が温まってくるといくらか楽になる。病院で簡単なヘルニアや坐骨神経痛の検査をしたが、そのおそれはないといわれた。

<ふだんの腰痛>
C 慢性的に鈍痛があるが、我慢できないほどではない。疲れたときはよけいに痛く、揉んでもらうと楽になる。
D 痛みは年中あって、冬の寒さとかクーラーなどでとくにひどくなるということはない。


●診察1からの判断
 診察は実際に患者の腰部に触れたり、患者に少し動いてもらったりしながら、さらにくわしく話も聞いていきます。患部が熱を持っているかいないかなどは触ってみないとわからないし、痛みの性質も、触ることでよりはっきりしてくるのです。
 診察1からは、以下のような判断がつけられます。

(今回の腰痛) Aの様子から実証の性質、Bからは寒証の性質が読みとれるため「実寒証」と判断しました。
(ふだんの腰痛) Cで「虚証」の性質を表し、Dで寒熱の偏りは少ないと読みとれるので「虚平証」と判断しました。

●ふたたび病の本質について
 これらの判断から、もう一度患者の「病の本質」がどこにあるかを考えてみましょう。
 この患者の場合、ふだんの腰痛を起こしている体質に「病の本質」があるということがわかります。この体質のためにたびたびぎっくり腰を起こすのですから、体質を改善していけば鈍痛もぎっくり腰を起こすこともなくなるということです。
 しかし、今回のぎっくり腰の直後の症状は、「揉んでもらっても気持ちよくない」「温めると楽になる」などの点で、ふだんの腰痛とは明らかに違うものと判断できます。体質の改善だけでは、今まさに苦しんでいる症状が快方に向かうことは望めません。
 そこで、その日の治療では急性症状の緩和を最優先させるために、実証に対する対症的な治療(標治)を行うことにしました。急性の症状がなくなってから、「病の本質」である虚証に対する根本治療(本治)を施して、腰痛を繰り返したりしない体質に導くのがベストです。

【出典】 日本実業出版社(著:関口善太)
東洋医学のしくみ

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  • 【辞書・辞典名】東洋医学のしくみ事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】関口善太
  • 【書籍版の価格】1,620
  • 【収録語数】115
  • 【発売日】2003年7月
  • 【ISBN】978-4534036179










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