-
今日のこよみ ・2019年(平成31年/猪)
・12月(師走/December)
・19日
・木(Thursday)
・二十四節気
┣「大雪」から12日
┗「冬至」まで3日
・先負
・十支:庚(かのえ)
・十二支:寅(とら)
月名(旧歴日):下弦の月/下つ弓張(しもつゆみはり)
電力量計
家庭で利用した電力は積算電力量計(略して電力量計)で測られる。
家の外壁に取り付けられていて、円板がクルクル回るのが見える、あの計器である。
しかし、そもそもどうやって使用電力を正確に測定しているのか。
そして、あの円板は何の意味があるのか。
その秘密を見てみよう。
電力量計は、物理学で有名なアラゴの円板と呼ばれる現象をたくみに利用している。
アラゴの円板とは、糸で吊るされた何の変哲(へんてつ)もないアルミの円板の下で磁石を回転すると、円板がつられて回転し始める現象をいう。
鉄の円板ならば当然だが、磁石とは縁がないアルミ板が磁石の影響を受けるのだ。
電力量計でクルクル回っている金属板は、このアルミの板なのである。
アラゴの円板の現象は電磁誘導の法則で説明される。
他項でもたびたび登場するこの法則は、「変化を減殺(げんさい)する方向に電気現象は起こる」ことを説く。
この場合、磁石の進む先では円板上の磁力が増えるが、この法則のためにそれを減殺しようとする渦状の電流が円板の中に生まれる。
この電流が作る電磁石が回転する磁石と作用し、円板を回すのである。
電力量計では、回転する磁石などない。
その代わりに、相当する働きをするコイルをアルミ円板の上下に配置している。
上と下でコイルに流す電流のタイミングをずらし、回転磁石に相当する磁力を電磁石で生んでいるのだ。
しかも、このコイルは屋内配線に通じている。
電気をたくさん使えば、それだけコイルを流れる電流が増え、強い電磁石を生み、円板が速く回転することになる。
この回転数を計れば、使用電力が算出されるわけだ。
電力量計では、アラゴの円板の現象がもう一つ利用されている。
中のアルミ円板は、先のコイルの電磁石とは別の制動磁石と呼ばれる永久磁石で挟まれているのだ。
制動磁石は、円板が空回転しないようにブレーキの働きをする。
この制動のしくみも、アラゴの円板と同じである。
使用した電力の量を測るのが電力量計である。目に見えない電気の量を測れるのは、「アラゴの円板」という現象を利用しているからだ。
【出典】![]() |
中経出版
「 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2 」 |
-
0
- ツイート
『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2』の紹介
A D |
著者 | ||
|
A D |