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 日時計【ひどけい】


機械時計よりも正確だった日時計



◆昔は方位を定めて時刻を知った
 分譲住宅の見学にいくと間取りとともに建物の向きを確かめる。正午近くの太陽の位置がおよそ南の方角である。
 時計がない昔は正午というのがはっきりしないから、方位もあいまいである。そこで太陽の運行の観測によってまず南を定め、太陽がその方位を通過する(南中する)時刻をもって正午を知った。昔は方位を知ることは時間を知ることだったのである。これが理解しにくいのは、現代では時刻情報があふれているからだ。家の中には時計がいくつもあるし、テレビ番組や学校の授業はタイムスケジュールにそって進められる。どんな方向音痴でも一日という時間の中で迷子になることはない。
 羅針盤の磁針は古くは時計の針と呼ばれた。中国における羅針盤はもともと航海器具ではなく、地相や方位を占うための羅盤と呼ばれる道具だった。時計というのは方位を知るための器具である土圭の当て字である。つまり昔の中国では羅盤そのものが時計であり、それに磁針がついて羅針盤と呼ばれるようになったのである。
◆明治時代に使われた正午計とは?
 日時計は複雑な装置を必要としない。極端にいえば自分の影さえ日時計がわりになる。しかし、日時計を機能させるには方位を知る必要がある。そこでヨーロッパでは一五世紀半ば頃から、方位磁石つき日時計が携帯時計として使われるようになった。これは方位磁石によって時計の文字盤子午線(南北)の向きにあわせ、そのときの影の位置で時刻を知る道具である。この携帯式日時計は機械式懐中時計が登場してからも長らく使われた。というのも、初期の機械時計は誤差が大きく、ときどき太陽の南中を観測して、時計の針をなおす必要があったからだ。
 東京大手町の逓信総合博物館に、明治時代に使われた正午計というものが展示されている。この正午計は小さな方位磁石と日時計を合体させたものだ。解説には「磁石を使って、太陽が真南に通過する時刻(午前一二時)を調べる道具です。当時の時計は狂い易かったため、時刻の点検や修理に使ったもので、箱の裏には経度差による時間のずれを直す表がついています」とある。時刻合わせをしようにも、当時はまたラジオの時報というのも存在しなかった。機械時計よりも日時計のほうが正確だった時代は、つい一〇〇年ほど前まで続いていたのである。

【出典】 日本実業出版社(著:吉岡 安之)
暦の雑学事典

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  • 【辞書・辞典名】暦の雑学事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】吉岡 安之
  • 【書籍版の価格】1,404
  • 【収録語数】198
  • 【発売日】1999年12月
  • 【ISBN】978-4534030214










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