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 レーザーによる尿路結石の治療【れーざーによるにょうろけっせきのちりょう】





概説
 まずは、内視鏡で結石を直接目で観察する必要があります。尿管鏡という細い器具を、尿道から膀胱内に、さらに尿管の中に挿入します。そして、結石が存在する場所まで近づいていき、結石を捉えます。そこで、尿管鏡の手元から、レーザーを送る細い導線を入れて、その先端を結石に直接接触させます(図:左尿管結石に対するレーザー治療)。レーザーを発振させることで、砕石(石を砕くこと)を開始します。
 レーザー治療により、結石は表面から、徐々に1mm程度に粉砕されていきます。ちょうど削岩機で岩を砕くのと、同じイメージとしてとらえることができます。十分に結石が砕ければ、治療は完了です。尿管の太さは5mm近くありますので、砕石片(砕いたカケラ)は、尿の流れとともに、尿管内を膀胱に向かって降りていきます。さらに、砕石片は、膀胱、尿道を通って体外に出ます。治療当日から、体外に出ることもありますし、全部きれいに出るまで1カ月以上かかることもあります。
 いずれにしても、治療当日に結石をそのままの形で、体外に取り去るのではなく、尿管という細い管の中を通過できる大きさに結石を砕いてあげて、あとは自然に砕石片が体外に出るのを待つ、といったのが治療の原理です。

結石の成分による分類
 多くみられる結石は、成分にカルシウムを含んだカルシウム結石です。蓚(しゅう)酸カルシウム、燐(りん)酸カルシウムなどがこれにあたります。少数ですが、尿酸結石やシスチンというアミノ酸の結石もまれにみられます。レーザー治療では、すべての種類の結石を粉砕することが可能です。

結石の場所による分類
 結石の存在場所によって、結石の呼び方が違うのは当然ですが、治療法も大幅に変わってきます。腎臓の中にある結石を腎結石といいます。最初に結石ができるのは、腎杯という場所です。腎臓のなかで、尿が少し貯まる部分(腎盂〈じんう〉)があります。ここから、すぐに尿管に移行します。腎臓と膀胱を結んでいる、尿の通り道で5mmくらいの管で、全長で25cmくらいです。尿管の中に結石があると、尿管結石といいます。結石が膀胱の中にありますと膀胱結石、尿道内にありますと尿道結石と呼ぶわけです。

尿路結石のレーザー治療の適応
1)結石部位別の一般的治療法
[1]腎結石(腎杯結石、腎盂結石など)
 腎結石に対しては、第一選択としては体外衝撃波による治療(ESWL:exstracorporeal shockwave lithotripsy)があります。体外より、腎内にある結石に衝撃波を当て、腎臓の中で、結石を細片化する治療法です。

[2]尿管結石
 上部尿管結石(骨盤よりも腎臓に近い部位の尿管結石)では、まず腎結石と同様、体外衝撃波治療が試みられます。中・下部尿管結石(骨盤内)では、治療機械の特性上、体外衝撃波をうまく結石に当てることが難しいことが多く、尿管鏡による内視鏡の治療(レーザー治療がこれに相当します)が多く行われます。直接、内視鏡で結石を確認して、結石を細片化します。
 ESWLは侵襲も比較的少なく結石の治療として優れていますが、カルシウム結石には有効なものの、尿酸結石やシスチン結石などのアミノ酸結石には歯がたちません。また、結石が尿管の壁とくっついていたりすると、十分に結石を砕く力を発揮できません。
 また、一般的にいって、5mmくらいまでの結石は尿管内を自然に通過していくことが多いので、5mm以下の小結石は直ちには治療の対象になりません。ただ、小結石でも長く動かないで尿管内に留まって、尿の通過障害による腎機能障害をきたしている場合はこの限りではありません。尿路結石治療の最大の眼目は、常に腎機能の保護です。

2)レーザー治療の適応
 上記のことからわかりますように、尿路結石におけるレーザー治療の適応は、おおよそ次に集約されます。[1]中・下部尿管の5mm以上の結石、[2]尿酸結石・シスチン結石などの特殊結石、[3]ESWL治療での無効例。ちなみに、治療手技料でみますと、体外衝撃波の保険点数は19,300点、一方、レーザー内視鏡治療は14,800点と、より安価な治療法となっています。

レーザー治療で使用する機器
1)レーザーの種類
 パルスダイレーザー、アレキサンドライトレーザー、ホルミウムヤグレザーなどが開発されてきました。しかし、高出力で強力な砕石作用を持ち、カルシウム結石・尿酸結石・シスチン結石などのすべての砕石が可能な、ホルミウムヤグレーザー(波長2,100nm)が主流となっています。

2)内視鏡
 内視鏡は、硬性鏡といって金属製の硬いものと、軟性鏡といって胃の検査で使用されるのに似たファイバースコープの2種があります。腎杯内の結石の治療を行うのではない限り、尿管結石のレーザー治療には通常、硬性鏡を使用しています。理由は、操作性が硬性鏡のほうが優れているからです。尿管の一番下の部分、膀胱の中に尿管への入り口があります。この部分が一番狭い箇所で、内視鏡を挿入するのに難しい場所です。最近では、尿管鏡の先端が3mm未満の細い内視鏡が開発されており、尿管内への内視鏡の挿入、さらには尿管内の観察は極めて容易かつ安全に実施が可能となっています。

手術方法
 手術方法としては、治療の概説の項で示したとおり、尿管鏡という内視鏡を尿管内に挿入し、レーザーを当てて結石を細片化するといった方法です(図:左尿管結石に対するレーザー治療)。尿道、尿管に器械が入りますので、何もしなくては疼痛がありますし、手術操作中、患者さんが動くと危険ですので、通常は数日間の短期入院の上、麻酔をかけた状態で治療を行います。手術時間は、30分くらいで終わりますが、結石が大きい場合や、尿管の壁に結石が嵌頓(かんとん)している場合にはもう少し時間がかかります。
 結石が大きくて、砕石片で尿管そのものが詰まる可能性がある場合や、尿管壁に結石が嵌頓して組織が腫れている場合、あるいは治療の際に尿管壁が傷ついた場合などでは、治療終了時に「尿管ダブルJステント」という細い管を尿管内に留置することがあります。この管は1カ月くらい後で、体外に取り去ります。
 尿管は尿が流れていない場合は、内部はペシャンコになっていますので、圧力をかけながら生理食塩水を流しこみ、尿管の内腔を膨らませながら観察します。したがって、結石が水流により、尿管の位置からまた腎臓の中に戻ってしまうこともまれにあります。また、尿管内の操作で、粘膜に少々の傷がつき、手術後に軽度の血尿になりますが、これは自然に治ります。

手術後の生活上の注意
 結石の治療後は、砕石片を早く体外に出す必要があります。したがって、日中はつとめて水分を多く摂取し、尿量として1日1,500ml以上は確保するように努めましょう。治療したにもかかわらず、砕石片で疼痛が生じることがあります。また、尿路感染により高熱が出る可能性もあります。こうした場合には、治療を受けた専門医への受診が必要です。必ず砕石片が全部体外に出たと診断され、結石による通過障害がないことが確認されるまでは、勝手に受診を中止しないで、専門医への受診を継続しましょう。 (亀山周二

【出典】 寺下医学事務所(著:寺下 謙三)
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