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 胃潰瘍【いかいよう】


Gastric Ulcer





 十二指腸潰瘍とともに消化性潰瘍といわれ、酸、ペプシン(タンパク質を分解する酵素)により消化管(胃や十二指腸)の壁の欠損を生じる病態です。食べ物を消化する胃液(攻撃因子と呼ぶ)とその胃液から胃を守る作用(防御因子と呼ぶ)のバランスがくずれた時にできると考えられています。統計学的には、男性は女性に比べて約3倍ほど罹患(りかん)率が高いようです。
 攻撃因子の1つである胃液は、胃酸とペプシンを含んでおり、食べ物を溶かすだけにとても強い力をもっています。ですから、そのままでは胃自体も溶かしてしまいます。その力から胃を守るのが防御因子です。防御因子には粘膜を保護するバリアの役目をする粘液、粘膜が分泌するアルカリ性物質で胃酸の力をやわらげる重炭酸、粘膜を健全に保つ血液の流れがあります。これら攻撃因子と防御因子の2つの作用がバランスよく働いている場合はよいのですが、攻撃因子が強くなりすぎたり、防御因子が弱まることで、胃の粘膜がこわれてしまうのです。
 胃酸やペプシン以外にも以下のような攻撃因子があります。その第一に考えられるのがストレスです。ストレス(精神的、肉体的を問わず)によって、例えば自律神経(脳の命令に関係なく働く神経。夜眠っていても心臓や胃が働くのはこの神経のおかげ)に変調が起き、胃液が出すぎたり、胃の粘膜表面の血管の収縮によって血液の流れの悪いところができ、その部分の防御因子の力を低下させるのです。
 また、最近は、ヘリコバクター・ピロリという菌がほとんどの潰瘍の原因(胃酸のもとでアンモニアを発生させ、粘膜をこわす)ではないかといわれ、現在注目の的です。ヘリコバクター・ピロリについては後ほど説明します。
 その他、攻撃因子と考えられるものとして、薬物、喫煙などがあります。薬物としては、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、抗生物質などがあげられますが、服用する機会が多い消炎鎮痛剤による潰瘍がとくに問題とされています。非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti‐inflammatory drug:NSAID)による潰瘍発症頻度が高く、潰瘍発症にかかわるものとしては、胃粘液量の減少、プロスタグランジン(胃粘膜細胞保護作用を示す防御因子)合成の低下、胃粘膜血流の減少などがあげられています。
 喫煙については、胃に対して粘膜血流の減少・酸分泌の亢進(こうしん)と悪影響を及ぼし、本当に百害あって一利なしです。防御因子としては、先にあげた粘液、重炭酸、血液の流れ、プロスタグランジンの他には、ホルモン(酸分泌を抑制したり、粘液や重炭酸分泌を促進)があります。

【ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)】(図:ヘリコバクター・ピロリ菌)
 グラム陰性桿菌(かんきん)で、胃酸のもとで生息します。胃粘膜障害を生じる因子はいくつかありますが、ピロリ菌が発生するアンモニアが粘膜障害性を有することが主と考えられています。ピロリ菌陽性率は、胃潰瘍では70~80%、十二指腸潰瘍では90~100%と高くなっています。しかし、日本人では無症候者でも40歳以上で陽性率は約80%と高く、陽性だからといってあわてることはまったくありません。なお、ご存じの方もおられると思いますが、2005年、胃内にこの菌を発見したオーストラリアの病理学者ワーレン氏と内科医マーシャル氏にノーベル賞が授与されました。

【出典】 寺下医学事務所(著:寺下 謙三)
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  • 【辞書・辞典名】標準治療[link]
  • 【出版社】日本医療企画
  • 【編集委員】寺下 謙三
  • 【書籍版の価格】5,142
  • 【収録語数】1,787
  • 【発売日】2006年7月
  • 【ISBN】978-4890417162










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