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今日のこよみ ・2019年(平成31年/猪)
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月名(旧歴日):下弦の月/下つ弓張(しもつゆみはり)
吸汗速乾ウエア
地球温暖化対策などの問題から、冷房だけに頼らずに夏の暑さを乗り切る工夫が求められる。
そこで、汗を吸いやすくてすぐ乾くという吸汗速乾性をうたったウエアが開発されている。
その技術の一端を見てみよう。
まずは、多重構造化された素材から作られたウエア。
内側に太い繊維、外側に細い繊維というように多層化すると、毛細管(もうさいけっかん)現象を利用してポンプのように汗を内側から外側に移動させ、蒸散させることができる。
さわやかな肌着やスポーツウエアにちょうどいい。
次に、汗による湿度を感知して通気調整する素材。
これは、湿度で変形する繊維で織られた生地を利用している。
汗で生地が濡れると、通気性が悪くなって衣服内が蒸(む)れる。
それを防ぐため、乾燥時には縮れて通気性を抑え、発汗時には伸びて通気性をよくする繊維で生地を織るのだ。
こうした生地は、汗をかくと織り目が開き、乾くと元の状態に戻る。
そのため、サラッとした蒸れないウエアになる。
さらに、繊維自体が吸汗即乾性を持つ素材から作られるウエアもある。
例えば、キュプラと呼ばれる繊維は従来、「ベンベルグ」という名でスーツの裏地に利用されていたが、吸汗即乾の素材として再び脚光を浴びている。
綿の種に付く羽毛から作られる再生セルロース繊維で、多孔質(たこうしつ)で吸放湿性に優れ、ムレやベタつきを繊維自体が抑えてくれる。
当然、この素材から作られる肌着は夏でも快適である。
スポーツの場では、多少の繊維の工夫だけでは汗はひかない。
そこで、さらなる荒業(あらわざ)を施したスポーツウエアも開発された。
内側に撥水(はっすい)ポリエステルの突起(とっき)を配し、外側の吸水ポリエステル繊維と組み合わせることで、外側の吸水部分では吸いきれない汗を衣服の下にはじき落とすのである。
古来、日本人は夏場に麻(あさ)の生地の衣服をよく着た。
通気性がよく皮膚にベタつかない、優れた「吸汗速乾性」があるからだ。
ここで見た新繊維開発の原点は、この辺にあるのかもしれない。
夏の省エネ推進策の一つであるクールビズ。それを裏から支える高機能ウエアが続々と開発されている。
【出典】![]() |
中経出版
「 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2 」 |
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『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2』の紹介
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