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今日のこよみ ・2019年(平成31年/猪)
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月名(旧歴日):下弦の月/下つ弓張(しもつゆみはり)
- 形態安定シャツ
そこで、現在、市販されている多くのワイシャツには形態安定という加工が施(ほどこ)されている。
形態安定とは「形状記憶」「ノーアイロン」などと呼ばれる繊維(せんい)加工の総称である。
この加工が施されていると、洗った後に干すだけでアイロンが不要になる。
あわただしい現代人にはピッタリのシャツだ。
形態安定加工のしくみを見る前に、なぜシワができるのかを調べよう。
綿繊維は天然のセルロース分子が緩やかに結びついてできているが、内部には大小さまざまな隙間(すきま)がある。
洗濯時には、この隙間に水がしみ込んで膨張(ぼうちょう)・変形するのだ。
そのまま乾燥すると、繊維が変形状態で固定されてしまう。
これがシワの原因である。
シワを作らないためには、水による繊維の膨張を抑えればいい。
その解決策として考え出されたのが架橋(かきょう)反応だ。
繊維と繊維とがしっかり結びつくよう、分子同士に橋を架ける化学反応を利用するのだ。
そうすれば、水がしみ込んでも繊維は膨張しなくなる。
架橋反応には最初にホルマリンが利用された。
現在では肌や環境にやさしいさまざまな物質が考え出されている。
架橋反応を利用して繊維の変形を防ぐ技術は、何も綿だけに限ったことではない。
ウールにも利用されている。
「丸洗いできるスーツ」などがそれである。
ウール繊維は表面がうろこ状になっていて、水を含むとささくれ立ち、隣の繊維ともつれ合う。
これが、水洗いでウール製品が縮む原因だ。
そこで、繊維を薄く樹脂で包んで架橋させる。
すると、濡れても繊維はもつれ合うことがなく、乾燥すれば元の形に戻る。
ちなみに、形態安定加工された衣服は「濡(ぬ)れ干(ぼ)し」が基本である。
雫(しずく)がたれるくらいが理想だ。
水分の重みでシワが自然に伸びるからである。
毎日のアイロン掛けから解放してくれるのが形態安定シャツ。いったいどうやって形が保たれているのだろう。
【出典】 |
中経出版
「 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術 」 |
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『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術』の紹介
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