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バスレーン【ばすれーん】
- 大都市の慢性的な渋滞は深刻である。特に朝夕のラッシュ時、道路を交通路としている路線バスは、公共交通機関としての機能を果たしていないというのが実情だ。それを少しでも緩和するために考え出されたのが、バスの専用レーンや優先レーンであった。バスレーンから、マイカーなどの一般車両を排除し、バスをスムーズに走行させようというものである。
バスレーンは道路の左側車線を利用しているのが普通である。ところが、道路の中央を堂々と走っている珍しいバスレーンがある。このバスレーンは全国で唯一、名古屋市だけにある。かって全国の主要都市を走っていた路面電車にヒントを得たことはいうまでもない。路面電車を追いやったマイカーたちだが、この路線ではマイカーがバスに追いやられている。
バスレーンが道路の中央を走っていれば、当然バス停も道路のど真ん中にある。このバスレーンが設置されたのは昭和六〇年。名古屋の都心と、人口の増加が著しい東部住宅地を結ぶ一〇・四kmの区間で、地下鉄の代替機関として整備されたものだ。
このバスレーンの良さは、何といってもその高速性にある。交通渋滞の影響をほとんど受けないばかりか、バス専用優先の信号方式をとっているため、従来のバスのようにその都度信号で待たされることもない。バス停も地下鉄並みの八〇〇~一〇〇〇m間隔に設置しているため、スピードも地下鉄並みである。渋滞で苛立つマイカーたちを尻目に、専用レーンを快走する大型基幹バス。一方、バスレーンで車線を削られたマイカーたちの渋滞は一層激しさを増した。そのためやむなくマイカーからバス通勤に切り換えた人も多いという。実はそれがこのバスレーンの狙いでもあった。
名古屋は道路の整備は進んでいるが、鉄道の整備は東京や大阪に比べ著しく遅れている。そのため、マイカーへの依存度が高い。東京のマイカー通勤が、全体の約一八%にすぎないのに、名古屋は六五%以上がマイカー通勤なのだ。この中央走行方式のバス専用レーンも、マイカーから公共交通機関に切り換させるための、一つの手段でもあったのである。
道路の左端を走るバスレーンに比べ、中央走行のバスレーンの利点は、まず路肩の違法駐車の影響を受けない。それに左折車に道路を妨げられることもない。路地から幹線道路に流入してくる車、および幹線道路から路地へ入っていく車などの影響も受けない。だから高速走行が可能なのだ。
この方式は、全国から注目を集めた。しかし、道路幅にある程度の広さ(最低二五m)がなければ設置が難しいことから、全国的に普及するまでには至っていない。道路が広い名古屋ならではのバスレーンだといえるのかもしれない。
道路のど真ん中にあるバス停の不思議
【出典】![]() |
日本実業出版社(著:浅井 建爾) 「 道と路がわかる事典 」 |
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道と路がわかる事典について | ||
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道と路がわかる事典

- 【辞書・辞典名】道と路がわかる事典[link]
- 【出版社】日本実業出版社
- 【編集委員】浅井 建爾
- 【書籍版の価格】1,620
- 【収録語数】255
- 【発売日】2001年11月
- 【ISBN】978-4534033154