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 超音波検査(エコー検査)【ちょうおんぱけんさ(えこーけんさ)】





《超音波検査とは》
 超音波検査は、文字通り音を用いた検査法です。人間の耳に聞こえる音は、個人差があるものの周波数がおよそ1秒間に1万2,000サイクルまでです。これ以上の周波数となると人間の耳に音としては聞こえなくなるため、「超」音波の名前があります。
 超音波は周波数により温熱効果をもつなど治療として用いられることがあります。つまり生体にとって何らかの物理作用をもたらします。一方、診断に用いられる超音波は周波数が100万から1,000万サイクルあるいはこれ以上のものが用いられます。この周波数となると生体に及ぼす作用が軽減しますが、まったくないわけではありません。そこで欧米やわが国では、胎児への影響をゼロとするため、超音波の出力を極力抑えるよう法的規制がかけられています。胎児にとって安全であれば、もちろん小児や大人にとっても安全な検査法といえます。
 人間の耳に聞こえる音は壁などの境界面にあたると反射して方向が変えられます。山に向かって大声を出すとこだまとして音が返ってくることでこの反射が実感されます。超音波でも同じ現象がみられ、体内に発射された超音波は臓器や血管あるいは細胞同士の境界面で反射を起こします。この反射を身体にあてた、超音波を発射する探触子(プローベ)で感知して画像化しているのが現在の超音波検査法です。正式には超音波反射法と呼ばれます。「こだま」は英語ではエコーですので、超音波検査がエコー検査とも呼ばれるのはこのためです。

イラスト:超音波検査(エコー検査)

《対象となる臓器》
 対象臓器はそれこそ頭のてっぺんからつま先まであり、体の表面、深部を問わず、超音波検査の対象となります。ただ、臓器によって超音波の得意不得意があります。一般に骨と胃腸内や肺内のガスではほとんどの音が反射されてしまうため、その奥にある臓器たとえば胸部食道などでは情報が得られません。超音波検査の最大の欠点ですが、逆にこの特徴を生かして反射する対象の性質を判断することができます。胆石や尿管結石などでは超音波がすべて反射されてしまい、結石より奥に進まないため裏側に影ができ、結石との診断が確定します。
 体表では、耳下腺、甲状腺、乳腺などが対象となります。深部臓器では、胸部では心臓、乳房が、腹部では、肝臓、胆嚢(たんのう)、膵臓(すいぞう)、脾臓(ひぞう)、腎臓、膀胱、前立腺、陰嚢(いんのう)、子宮、卵巣、大動脈などほぼすべての臓器が対象となり、胃や腸など消化管の疾患にも応用されています。四肢では、筋肉や下肢の血管が対象となっています。

《適応となる疾患》
 適応となる疾患は多岐にわたります。1つは、ガンや良性腫瘍(しゅよう)など各臓器にできるしこりをみつけだし、さらにしこりが悪性であるのか良性であるのかをある程度区別することができます。たとえば肝硬変や慢性肝炎の患者さんでは高率に肝臓ガンが発生しますが、ガンが発生したかどうかを調べるには、定期的な超音波検査が行われています。次に、胆嚢、腎臓、尿管、膀胱では結石の診断が極めて高率にできます。腹腔内臓器の炎症性疾患の診断にも威力を発揮します。肝硬変や急性肝炎、急性胆嚢炎急性膵炎慢性膵炎急性胃炎急性虫垂炎、急性腸炎などの診断が行われています。このほか、腸閉塞、腹水や胸水の診断にも役立てられています。
 心臓では、各種弁膜疾患、心筋梗塞などが診断されますし、リアルタイムに動きがわかりますので、心臓の収縮力をみることで心臓の機能が評価でき、心疾患が疑われる人や心不全の診断には超音波検査が必須です。

《超音波検査の実際》
 超音波検査はプラスチックでできた手のひらサイズの探触子を、体に音が入りやすいようにゼリーを塗った皮膚にあてて行われます。苦痛度としては、冬などはゼリーが温められていないとその冷たさにびっくりするほどですし、プラスチックでできた探触子は固いので、「グリグリと押しつけられて痛かった」との声も時に耳にします。これ以外は、体に対する害はなく、何度でも繰り返して検査を受けることができます。
 腹部、とくに上腹部の検査では、食事をするとガスが胃の中に入り、超音波がその背面に届きにくくなりますので、検査前の1回の食事を食べない空腹時に検査が行われます。また下腹部の検査では膀胱に尿がたまっていると見やすくなるため、尿を出さずに我慢しておく必要があります。膀胱に尿がたまっていればいるほど見やすいのでそれだけつらく、また「尿をもらさないか?」と心配になることもあるでしょうが、できるだけ我慢していただきます。
 他検査との違いは、超音波検査では体や臓器の断面像が得られることです。そこで同じ断面像が得られるX線CTとよく対比されます。超音波のよい点は、繰り返し行っても害のないこと、装置がCTと比べ小さいためベッドサイドでも行えること、いろいろな断層面を駆使して多方向から観察できることなどがあげられます。また特別な造影剤を使用しなくても血液の流れが簡単にわかることも特徴の1つです。一方、ガスや骨がじゃまをしてみえる範囲に制限があり、死角となる部分が存在します。また視野が小さいため、細切れの画像をつなぎ合わせて全体像を把握しなくてはならず、検査結果が検査者の技量で大きく左右されてしまう点は、超音波検査の劣る点です。

《超音波検査の応用》
・血流診断:音にはドップラー現象が知られています。救急車など音を発生しているものが近づいてくるときには、実際の音より高く聞こえ、遠ざかるときには逆に低くなります。これを周波数偏位といい、動きが速ければ速いほど大きくなるので、偏位の程度で速度を逆算できます。超音波が赤血球に反射すると血液の流れによる周波数偏位が起こり、その程度で血液の流速が判定できます。この技術を応用して、血流の速度と方向を赤や青のカラーで表示する手法が開発され、心臓や血管の血流診断に用いられます。
 また、最近では、超音波造影剤が開発され、臓器や腫瘍の血流そのものをドップラー法を用いなくとも観察できるようになっています。造影剤は内部に空気を含んだ赤血球より小さな粒でできていて、超音波がガスの表面で強く反射する性質を利用しています。生理食塩水にこれを浮遊させて静脈注射により各臓器に分布させます。一定の時間が過ぎるとこれらの粒は代謝されて吸収されますので、体に対する害はありません。

・超音波ガイドによる穿刺:細胞を採取して、さらにこれを顕微鏡で観察する組織診断は、疾病の本体に迫るうえで最終的な判断をもたらしてくれます。皮膚を通して内臓を穿刺する経皮的生検では、超音波がそのガイドとして役立てられています。臓器と穿刺針を超音波で同時にモニターしながら針先をコントロールできるため、これまでレントゲンなどであたりをつけておき、あとは盲目的に針を刺す場合と比べ、極めて精度の高い生検ができるようになっています。 (万代恭嗣

検査のコツ

【出典】 寺下医学事務所(著:寺下 謙三)
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