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 中山道【なかせんどう】


庶民に人気のあった中山道



東海道に次ぐ幹線道は中山道である。中山道江戸日本橋から板橋、高崎、軽井沢、下諏訪、木曽路、関ヶ原を経て京都三条大橋までの六九次。距離にして約五三〇km。これは東海道より四〇kmほど長く、宿場は一六宿も多い。中山道には険しい山道が多く、寒さも厳しい恐らく雪のため、通行が困難なときもあっただろう。当然、一日で歩ける距離も短かくなる。宿場が多かったのはそのためだといえる。
それに比べ、東海道は海沿いをたどるコースであったため、険しい山道も少なく、気候も温暖。街道もよく整備されていた。中山道に比べれば快適な旅ができるはずだ。にもかかわらず東海道を避け、中山道を歩く旅人も多かった。最大の理由は、東海道には難所が多かったからである。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」といわれたように、東海道には行く手を阻む大きな河川が何本もあった。最も有名なのが大井川だ。江戸防衛の目的から、大井川には架橋も渡船も許されず、川越人足に頼るしかなかった。だが、上流で雨が降るとたちまち増水する。水位が増すごとに川札代も高くなっていった。この料金がまた馬鹿高い。宮(熱田)から桑名までの、七里の渡しの船賃より高かったという。しかも、一定の水位を越えると川止めを食らう。一日、二日の川止めで済むとは限らない。一定の水位まで下がらなければ、何日間でも川止めを食わされる。この間の宿代が大きいのだ。東海道での歩行渡しは大井川ばかりではない。六郷川(多摩川)や馬入川、富士川、天竜川などでは船渡しが許されていたが、安倍川や酒匂(さかわ)川でも歩行渡し、すなわち川越人足が唯一の交通手段だった。
関所での取締りも、旅人にとっては大きな難所だった。しかも、東海道での取締りはどの街道にも増して厳しかったのだ。「入鉄砲出女」の取締りは厳しく、こんな難儀をするくらいなら、少々大回りのコースになっても、たとえ険しい山道があっても、安心して歩ける中山道の方がましだということなのだろう。
一方、中山道は山深いルートだったとはいえ、箱根峠ほどの険しさではなかった。それに中山道大きな魅力は、宿賃が安いことである。東海道の旅篭より二割ほど安かったというし、もてなしもよかったらしい。風景もよく、東海道のように人の往来も多くなかったので、のんびりした旅が楽しめた。ちなみに、参勤交代東海道を通る大名は一五〇家あまりにも上ったのに対し、中山道は三〇家あまりと少ない。この面でも気分的に気楽だったのだろう。
冬は寒さが厳しいため、中山道が敬遠されたのはやむをえないが、夏は涼しく、東海道よりはるかに快適な旅ができた。東海道松並木が多かったのは、真夏の炎天下に涼をとるための道路施設だと考えられる。こうしてみると、冬期を除けば中山道の方が快適で、旅費もむしろ安上がりだったといえそうだ。

【出典】 日本実業出版社(著:浅井 建爾)
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  • 【辞書・辞典名】道と路がわかる事典[link]
  • 【出版社】日本実業出版社
  • 【編集委員】浅井 建爾
  • 【書籍版の価格】1,620
  • 【収録語数】255
  • 【発売日】2001年11月
  • 【ISBN】978-4534033154










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