-
今日のこよみ ・2019年(平成31年/猪)
・12月(師走/December)
・19日
・木(Thursday)
・二十四節気
┣「大雪」から12日
┗「冬至」まで3日
・先負
・十支:庚(かのえ)
・十二支:寅(とら)
月名(旧歴日):下弦の月/下つ弓張(しもつゆみはり)
田山花袋【東京雑学研究会編】
- 日露戦争(一九〇四~〇五年)の後、日本では、浪漫詩人が次々と自然主義文学を形成していった。
島崎藤村・国木田独歩と並ぶ自然主義の重鎮に田山花袋があげられる。
田山花袋の『蒲団』は島崎藤村の『破戒』と並び称される自然主義文学の名作である。『蒲団』では実生活の愛欲の告白記として文壇に大きな影響を与えた。
この後も日本の自然主義文学は『蒲団』の強い影響を受け、虚構を避け、あくまでも実生活に則した表現をめざし続けた。
さて、この田山花袋が死に瀕したとき、島崎藤村との間に次のようなエピソードが残されている。
一九二八(昭和三)年一二月に脳出血で倒れた田山花袋は、翌年五月に喉頭ガンも発見された。
一九三〇(昭和五)年五月五日、病床の田山花袋のところに島崎藤村が見舞いにやってきた。普通ならここで「思ったより顔色がいい」とか「じきによくなるだろう」といった励ましの言葉を述べるところ。ところが島崎藤村は、田山花袋の顔をじっと見つめてこういった。
「この世を辞してゆくとなると、どんな気持ちがするものかね?」
尋ねられた田山花袋は、怒ることもせず、慌てることもせず
「なにしろ、誰も知らないくらいのところへ行くのだから、なかなか単純な気持ではない」。
「苦しいかね?」
「苦しい」
聞く方も聞く方だが、飄々と答える田山花袋も大したものだ。この翌日、田山花袋は重体に陥り、五月三一日、ついに永眠した。島崎藤村の一見、無神経にも思える質問は、無気味なほどタイムリーなものだったのだ。
§死ぬ気分をインタビューされた作家の最期
【出典】![]() |
東京書籍(著:東京雑学研究会) 「 雑学大全 」 |
A D |
雑学大全について | ||
|
この言葉が収録されている辞典 |
雑学大全

- 【辞書・辞典名】雑学大全[link]
- 【出版社】東京書籍
- 【編集委員】東京雑学研究会
- 【書籍版の価格】2,160
- 【収録語数】1,000
- 【発売日】2004年8月
- 【ISBN】978-4487799473