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今日のこよみ ・2019年(平成31年/猪)
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- アトピー性皮膚炎【あとぴーせいひふえん】
- 遺伝的な素因をもとに、慢性的に湿疹病変を繰り返す皮膚の病気です。カサカサと乾燥した皮膚にも特徴があります。
1)アトピー性皮膚炎のアレルギー的側面
アトピー性皮膚炎の症状は慢性の湿疹だとすると、症状としては慢性のかぶれと同じということになります。しかし、病気の成り立ちを考えると単なるかぶれとはいえないことがわかります。すなわち、アレルギー性のかぶれはT細胞が主役の遅延(ちえん)型アレルギーであったのに、アトピー性皮膚炎の7~8割の方ではIgE(免疫グロブリンE)という抗体が高いという特徴があります。IgEは、肥満細胞とともに即時型アレルギー反応の主役です。皮膚における即時型アレルギーの反応はじんま疹として表現されるはずですが、アトピー性皮膚炎の症状はじんま疹の症状とは明らかに異なります。アトピー性皮膚炎においては、じんま疹ではなく、かぶれと同様の症状を示しながら、即時型アレルギーと関連する検査値異常を示すところに大きな矛盾があったわけです。アトピーという言葉は「奇妙な」という意味ですが、この点でいえば確かに奇妙だったかもしれません。ただ、現在では、この矛盾は徐々に説明がつくようになり、アトピー性皮膚炎におけるアレルギー性炎症は、即時型と遅延型アレルギーの両者が入り混じった反応として起こっていると考えられています。
2)アトピー性皮膚炎の非アレルギー的側面
アトピー性皮膚炎はアレルギー的側面以外にもう1つ重要な側面があります。それは、皮膚のバリア機能の低下という側面です。これは、皮膚の乾燥という症状と関係しているものです。皮膚の一番上には角質層という薄い膜がありますが、この膜のおかげでわれわれは内側の水分を保ち、外からの刺激にも耐えられるわけで、この膜がなければ生命の維持は困難なくらい重要なものです。角質層の中でバリア機能に重要なものとして、セラミドという脂質やフィラグリンというタンパクがありますが、アトピー性皮膚炎の方の角質層ではセラミドが減っており、また、一部の方には、フィラグリンをつくる遺伝子に変異があって、バリア機能が落ちていることがわかっています。したがって、アレルギー炎症云々の前に、むしろこのバリア機能の低下が根本問題で、その結果、通常は入ってこない物質が入ってくるから異常なアレルギー炎症が生じるという考え方もできます。
Atopic Dermatitis
【出典】 |
寺下医学事務所(著:寺下 謙三) 「 標準治療 」 |
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この言葉が収録されている辞典 |
標準治療
- 【辞書・辞典名】標準治療[link]
- 【出版社】日本医療企画
- 【編集委員】寺下 謙三
- 【書籍版の価格】5,142
- 【収録語数】1,787
- 【発売日】2006年7月
- 【ISBN】978-4890417162