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皮膚科

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カンジダ症【かんじだしょう】
Superficial candidiasis of the skin

[受診科] 皮膚科
【概説 】
 カンジダはカビ(真菌)の一種で、菌糸(カビの一部が伸びて糸状に見えるもの)を形成する分芽菌(酵母など球状のカビ)という真菌の仲間です。カンジダに属する真菌には100種類の菌種が知られていますが、人から見つかったものには約7種類があり、そのうち確実に人に病気を起こすものはカンジダ・アルビカンス(C. albicans)です。しかし最近は、カンジダ・アルビカンス以外のカンジダによる感染症も増えています。内臓にみられるカンジダ症悪性腫瘍やAIDSなど、免疫力が低下した患者にみられることが多いのですが、皮膚に生ずるカンジダ症は全身の要因ではなく、皮膚を不潔にしたり、ステロイドを使用したなどといった局所の要因によって発症することが多いようです。

【症状 】
 皮膚科でみられるカンジダ症は、皮膚や粘膜の表面にカンジダが寄生する表在型が大部分を占め、皮膚の深部に感染することはほとんどありません。カンジダが寄生する部位により種々の病型に分類されています。
1)皮膚カンジダ症
[1]カンジダ性間擦疹
 皮膚カンジダ症の基本病型で、皮膚と皮膚の擦れ合う間擦部位、例えば股(陰股〈いんこ〉部)、左右のお尻の間(臀溝〈でんこう〉)、顎の下、わきの下(腋窩〈えき〉)、乳房下部などに境界がはっきりした赤い発疹(紅斑)がみられます。その辺縁には葉状の薄皮(鱗屑〈りんせつ〉)が付着しますが、紅斑から少し離れた部位にも小さなあせも様の赤いぶつぶつ(丘疹〈きゅうしん〉)や小さなうみ(膿疱〈のうほう〉)がみられ、これを衛星病巣と呼びます。軽いかゆみや、痛みがあることがあります。
[2]乳児寄生菌性紅斑
 乳児、とくに3カ月未満の乳児に生じるカンジダ性間擦疹(かんさつしん)です。また寝返りのうてない乳児や寝たきり老人では、背中一面にあせも(汗疹〈かんしん〉)様の皮膚カンジダ症がみられることがあります。
[3]カンジダ性指趾間びらん
 指の間の皮膚がむけ、ただれたようになり、赤くなります。びらん面の中心部は白色にふやけます(浸軟〈しんなん〉)。経過中辺縁に葉状の薄皮(鱗屑)がみられることもあります。手の指の間に多くみられますが、足の指の間に生じることもあります。この疾患や以下の疾患は、水仕事の多い中年婦女子や飲食店などに従事する男性に多くみられます。
[4]カンジダ性爪囲(そうい)・爪炎(そうえん)
 爪の周りの炎症を爪囲炎と呼び、カンジダによるものと細菌によるものがあります。カンジダによるものでは、爪の後ろ(後爪廓〈こうそうかく〉)、ときに爪の側縁(側爪廓〈そくそうかく〉)が赤く腫れ上がり、爪と皮膚との間(爪溝〈そうこう〉)が広がり、爪廓の後退などがみられます。細菌による爪囲炎と比べ、赤みや腫れの程度も軽く、必ずしも痛くありません。爪囲炎を繰り返していると、やがて爪の色が変色したり、爪の表面がでこぼこし、横にすじ(横溝)がみられるようになります。このような爪の2次的変化はカンジダ性爪炎と呼ばれますが、この場合、カンジダは爪の表面に付着しているだけで、爪の中にまで侵入していることはありません。手の爪の周囲に生じやすく、中指に多くみられます。
[5]爪カンジダ症
 爪の中までカンジダが寄生したもので、大部分が手の爪に生じます。爪の先が皮膚から浮き上がり(爪甲剥離)、爪が濁って厚くなるなどの様々な変形がみられ、爪がボロボロになり、爪の先端が欠けることもあります。成人の女性に多く、しばしば全身性エリテマトーデスなどの膠原(こうげん)病を合併します。健康な乳児にもみられることがありますが、この場合は大部分が、半年ほどで自然によくなります。
2)粘膜カンジダ症
[1]口腔カンジダ症(鵞口瘡〈がこうそう〉)
 新生児では健康児にもみられますが、成人では糖尿病などの基礎疾患や、長期のステロイドや抗生物質の内服を受けている人に生じやすいようです。口の中の粘膜あるいは舌の一部に白色の厚い膜様の物質、あるいは白いこけ状のもの(白苔〈はくたい〉)が付着し、多少の赤みを伴っています。これが多発して地図状にみえることもあります。白苔は容易に剥がすことができ、剥がすと赤くただれたようになります。
[2]カンジダ性口角びらん
 口角部が白くふやけ、一部が切れて、ただれたり、かさぶたが付着するようになります。口を開ける時に痛みを伴うことがあり、口腔内カンジダ症に合併することが多いようです。
3)慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCC)
 慢性の経過をたどる皮膚と粘膜のカンジダ症で、いくつかの病型があります。この中で、先天性あるいは遺伝性の免疫不全内分泌異常を背景に、幼少時に発症するものが多く、鉄欠乏性貧血、ビタミンAの欠乏症を伴うこともあります。症状は幼少時期より口腔カンジダ症、口角びらん症を生じ、爪カンジダ症が多くの爪にみられます。皮膚病変は厚いかさぶたが付着する傾向が強く、かさぶたが著しいといぼ状となります。この場合、表面のかさぶたを剥がすと赤くただれたびらん面となります。
【診断 】
 カンジダは口の中や、糞便(ふんべん)中、膣内にはしばしば常在菌として存在しているため、カンジダが培養されただけではカンジダ症と断定できず、顕微鏡でカンジダがそこにいることを証明しなければなりません。カンジダは顕微鏡で、比較的細い仮性菌糸と菌糸に付着する分芽胞子(カビの一形態で、小さな球形、卵円形の胞子)がみられ、しばしばブドウの房状の分芽胞子集団が観察されます。慢性皮膚粘膜カンジダ症や爪カンジダ症では、顕微鏡で白癬(はくせん)菌と紛らわしい真菌がみられるため、しばしば爪の水虫(爪白癬)と誤診されます。そのため培養して原因菌を同定する必要があります。乳児寄生菌性紅斑はオムツ皮膚炎との鑑別が重要です。また足の指の間のカンジダ症は、指の間に生じた水虫(足白癬)と誤診されやすいです。
【標準治療 】
 表在性皮膚カンジダ症は、イミダゾール系やモルフォリン系の抗真菌薬を2週間ほど塗り続けるとほぼ治癒します。しかしカンジダが毛や爪に寄生した場合や、著しく盛り上がった皮膚病変となった場合は、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、フルコナゾール)またはテルビナフィンという飲み薬の内服が必要です。大部分の症例は飲み薬を数カ月続ければ、治癒〜軽快します。しかしカンジダ性爪囲・爪炎は治癒までに数カ月を要し、再発しやすく、抗真菌薬の内服は無効です。また口腔内カンジダ症にはナイスタチンシロップ液、アムホテリシンB注射の稀釈(きしゃく)液でうがいを行うか、フロリードゲルを塗ります。
●標準治療例
通常の皮膚カンジダ症の場合
 [1]ルリコンクリーム  1日1回塗布
 [2]ペキロンクリーム  1日1回塗布
慢性皮膚粘膜カンジダ症、爪カンジダ症の場合(成人例)
 イトリゾール(50mg)  2カプセル 1日1回食直後内服
口腔カンジダ症の場合
 [1]ファンギゾンシロップ  1日200〜400mg 数回に分け口に含んだ後、嚥下(えんげ)
 [2]フロリードゲル経口用  1日100〜200mg 数回に分け口に含む
【予後 】
 カンジダ性指間びらん症、カンジダ性爪囲・爪炎は、水仕事をやめない限り再発を繰り返します。口腔カンジダ症は治療に反応しますが、基礎疾患を有しているものでは治療を中止すると再発を繰り返します。慢性皮膚粘膜カンジダ症では、皮膚病変は夏期に増悪しますが、冬期には軽快傾向を示し、また年齢とともに軽快します。しかし慢性皮膚粘膜カンジダ症の口腔内病変は、成人になっても存在し、アゾール系抗真菌薬を内服すると軽快しますが内服中止とともに再発します。
【生活上の注意 】
 間擦部位をむらさないように清潔に保つことが発症を防ぐ上で重要です。カンジダ性指間びらん症やカンジダ性爪囲・爪炎は水仕事(手洗いも含む)が誘因となっているので、水仕事をできるだけ避けましょう。それができない場合は、手や指の乾燥に努め、水仕事の後は手についた水を素早くきれいに拭き取ります。また爪の脇にたまった水分もきれいにふき取ります。さらに頻回に抗カンジダ薬をつけることも大切です。
このページの執筆医師【渡辺晋一

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発売日 2006年7月
ISBN 978-4890417162
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