1980年代以降、欧米諸国を中心に女性の社会進出、家族形態の多様化、男女労働者の意識の変化、少子高齢化などの変化を背景に、働く人々の意識が、「仕事と家庭(家族)」のバランス、さらには「仕事と(個人の)生活―ワーク・ライフ」のバランスを求める方向へ展開している。優秀な人材を確保するためにも、働く人々の希望を重視し、環境整備を図ることが望ましいと考える企業も増えてきた。ワーク・ライフ・バランスは、これまでの「ファミリー・フレンドリー」施策よりも、広い展望に立った施策である。性別や年齢に関係なく、労働者の仕事と生活全般のバランスを支援するという考え方であり、この「生活」には子育てや家庭生活だけでなく、地域活動や趣味・学習などあらゆる活動が含まれる。こうした仕事と生活の両方が充実した働き方を実現させる取り組み方は、公共政策として国・地方自治体が中心となっているヨーロッパ型と、企業経営上のメリットという観点から企業主導で実施されているアメリカ型に大別される。日本にこうした考えが根付くためには、政府、企業、労働者が現状を見直し、人間的な仕事と生活のあり方を十分考えることが必要である。